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「あっそうだ!美紅、さっきすごく綺麗なもの見たんでしょ?」
あたしの隣に座っている村上姉さんが、わざとらしく会話を振った。
「うん。スッゴく綺麗で素敵だったの」
あたしの目の前に座る美紅ちゃんが、瞳を輝かせてあたしを見つめた。
「えっ!?教えてよっ」
美紅ちゃんの隣に座る冴子さんが、さらに会話を煽った。
美紅ちゃんが最近加わったとは思えないほど、ナイスコンビネーションで会話のキャッチボールが続く。一瞬、不思議に思ったけど、せっかくなので耳を傾けた。
「あのね。本当にスッゴく綺麗で、絵画みたいだったの」
「「うん!うん!」」
美紅ちゃんの語りに、冴子さんと村上姉さんが頷く。あたしも会話に引き込まれた。
「夕陽が落ちて、だいぶ辺りが薄暗くなってて、すごく神秘的な空間だったの」
「「うん!うん!」」
「普段とは違って、いつものクールさからは想像出来ない、初めて見る柔らかな笑顔は、それはそれは破壊的でね。」
「「うん!うん!」」
うん?
初めは、絵画みたいで綺麗で素敵なって言うから虹でも見たのかと思って聞いていたんだけど……
笑顔って……!?
あたしは、首をかしげた。
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