◇◇ 第34章 優しさと揺さぶりと ◇◇

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「ありがとうございました」 数名の店員さんに見送られながら、麗香さんとあたしは外へ出た。 「麗香さんこんなブランド店で、あんなおもてなしを受けるなんてスゴいですね」 あたしは素直な気持ちを口に出していた。 「あたしがスゴいんじゃなくってよ。お父様がずっとこちらを愛用されていらっしゃるから……。 世代を問わずに使えるブランドだから、ずっとご贔屓(ひいき)にさせていただいてるの。 いつもは、外商の方に屋敷にお品物を持ってきていただくんだけど、今日は、近くまで来る用事があったからお店まで足を運んでみたの。 でも、来て良かったわ。お相手の方への想いも募ってゆくし、璃子さんにもお会いできて、本当にタイミングがいいんだもの。璃子さんに聞いていただきたいお話もあったし。わざわざ足を運んだ甲斐があったわ。」 麗香さんは、微笑みながらあたしを見つめた。 『聞いていただきたいお話』などと言われ、あたしはお茶を断る事が出来なくなり、微笑んで頷いたまま、麗香さんに合わせて歩いた。 麗香さんは、そのままあたしを連れて、高級ホテルの上階にあるカフェへと向かった。 「いらっしゃいませ」 格式高い高級ホテルのカフェに相応しく、品の良いウェイターが出迎えてくれた。そして、窓際の静かな席へと案内した。 「さっきコーヒーをいただいたから……。 そぉねぇ。ケーキセットをアイスティーで2つお願いするわ」 麗香さんが、さらりと注文を済ませると、ウェイターは静かに一礼して立ち去った。 「よかった。ここならゆっくりお話出来そうね」 慣れた振る舞いで麗香さんは席についた。 休日の人混みの中でのお茶を想像していたあたしは、あまりの格式高く静まり返ったお店の雰囲気に少々気後れしながら、ふわふわのソファーへと腰をおろした。
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