◇◇ 第36章 さまよう心 ◇◇

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「和也のニューヨークでの仕事次第では、業界の流れが変わるんだよ」 「……」 和也さんは、そんな大きな仕事をしているんだ。あたしは驚きで言葉が出なかった。 「一応、隼人さんから、うちの会社の海外事業部もお声をかけていただいててね。 話が進めばかなり忙しくなるし、それまでに人材の確保と、育成をしておかないといけなくてね。ちょっと忙しいんだなこれが」 優輝さんは、笑いながらおどけて見せた。 「すごいですね……」 「和也が?」 「それもありますけど。皆さんが、ですよ」 「よかった。俺も褒めていただけて」 「優輝さんたら」 あたしたちは、目を見合わせて笑った。 「あっ、最近、美紅ちゃんが、海外事業部のお手伝いしてるって聞きました」 「あーっ、早川ね。そうなんだよ。彼女、英語が堪能でね。 この前、俺の居ないときに突然、取引先の外国のお客様がお越しになったときに、見事な語学力を発揮して接客したらしくてね。それから、手伝ってもらってるんだ」 「そうだったんですか」 「和也が居てくれたときは、お任せでよかったんだけど……。和也の抜けた穴は大きいよ」 「……」 ぽつりと呟く優輝さんの言葉に、あたしは淋しいような、うれしいような気持ちになった。
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