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部屋に戻った俺は、窓からニューヨークの夜景を見下ろした。
いつもなら璃子の起床時間に合わせて送るメールが、ディナーに行ってて送れなかったので、遅くなったがメールを打った。
『拓巳に誕生日プレゼントとして、璃子の代わりに奢ってもらったよ』
今は、仕事中だな。
今日も、頑張ってるんだろうな。メールに気がつくだろうか?
そんな事を思いながら、送信ボタンを押した。
……璃子
今夜は、無性にキミに逢いたくて堪らない。
酔ったのだろうか?
それとも、夜だからだろうか?
それとも、誕生日という特別な日だからだろうか?
いいや。
多分、拓巳から感じた、溢れる璃子への想いと、ふたりが過ごして来た時間の長さに嫉妬してしまったからだろうな……
俺は、ギュッと締め付ける胸の痛みに、ただ、ただ、ひとりじっと耐えた。
夜空を見上げれば、月から発せられる仄かな明かりが、俺の淋しさを慰めるかのようにそっと優しく包み込んだ。
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