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和也さん忙しかったのかなぁ……
普段なら、目覚めた時には届いているメールが、今朝に限って届いていなかった。
今までだって何度かはあったんだけど、それでもちょっと気になってしまうのは、きっと『誕生日』という特別な日だったからかもしれない。
きっと、会議が長引いたりしていて忙しかったんだよね?
それとも、アメリカだし、お誕生日パーティーを盛大に開いてもらっちゃってたりして……。
あたしは、メールが気になってはいたが、気がつけば、お盆休み前の仕事の最終確認と準備に追われていた。
少し遅めのお昼にありつきながら、ふと携帯を見ると、和也さんからのメールが届いていた。
『拓巳に誕生日プレゼントとして、璃子の代わりに奢ってもらったよ』
そっか、ふたりで食事して飲んでたんだ。男同士の会話でもしたのかな。
拓にぃ、あたしの代わりに奢ってくれたんだ。仕方ない、先日、和也さんとの電話を邪魔した件は許してやろう!
あたしは、和也さんのメールに、想像と想いを馳せながら微笑んだ。
昼食を食べ終え、フロアに戻る。途中で優輝さんとすれ違った。
「あっ璃子、明後日の予定はどうなってる?」
「午前中に秘書室のフォローが入ってます」
「じゃあ、夕方ぐらいから寺坂さんところに行ける?」
「はい。大丈夫です」
「じゃあ、その予定で。また連絡するから」
「はい」
最近とても忙しそうな優輝さんは、すれ違いざまにそう言うと、そのままフロアから出て行った。
1日1日近づく再会の日に、あたしの心はワクワクとドキドキを抑えられなかった。
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