◇◇ 第36章 さまよう心 ◇◇

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******** 和也さん忙しかったのかなぁ…… 普段なら、目覚めた時には届いているメールが、今朝に限って届いていなかった。 今までだって何度かはあったんだけど、それでもちょっと気になってしまうのは、きっと『誕生日』という特別な日だったからかもしれない。 きっと、会議が長引いたりしていて忙しかったんだよね? それとも、アメリカだし、お誕生日パーティーを盛大に開いてもらっちゃってたりして……。 あたしは、メールが気になってはいたが、気がつけば、お盆休み前の仕事の最終確認と準備に追われていた。 少し遅めのお昼にありつきながら、ふと携帯を見ると、和也さんからのメールが届いていた。 『拓巳に誕生日プレゼントとして、璃子の代わりに奢ってもらったよ』 そっか、ふたりで食事して飲んでたんだ。男同士の会話でもしたのかな。 拓にぃ、あたしの代わりに奢ってくれたんだ。仕方ない、先日、和也さんとの電話を邪魔した件は許してやろう! あたしは、和也さんのメールに、想像と想いを馳せながら微笑んだ。 昼食を食べ終え、フロアに戻る。途中で優輝さんとすれ違った。 「あっ璃子、明後日の予定はどうなってる?」 「午前中に秘書室のフォローが入ってます」 「じゃあ、夕方ぐらいから寺坂さんところに行ける?」 「はい。大丈夫です」 「じゃあ、その予定で。また連絡するから」 「はい」 最近とても忙しそうな優輝さんは、すれ違いざまにそう言うと、そのままフロアから出て行った。 1日1日近づく再会の日に、あたしの心はワクワクとドキドキを抑えられなかった。
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