◇◇ 第36章 さまよう心 ◇◇

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お盆休みが始まり、今日のあたしは秘書室フォローの担当だった。 午前中と言いながらも、13時までは秘書室で待機して待つ。 前日の藤井さんのフォローがよかったからだろう。特別に何事もなく、ただ普通に仕事をしながら電話番をしていた。 13時に内線がかかり、電話に出ると、社長の運転手の沢村さんから仕事が終わった事が告げられ、あたしの帰宅の許可が出された。 「沢村さん、お疲れさまでした」 あたしは電話を置くと、うーんと伸びをした。 「さてと……」 朝、偶然フロアで休日出勤している優輝さんに会った。会議室に居るからって言われていたあたしは、立ち上がって優輝さんの待つ会議室へと向かった。 コンコン…… 「失礼します」 「あぁ、璃子。もうそんな時間?」 優輝さんは、腕時計を見ながら言った。 「一応、終わったので、報告に来ました」 「璃子ごめん。もう少し仕事片付けたいから先にマンションに戻ってていいよ。終わったら、連絡入れて迎えに行くから」 「大丈夫ですよ。あたしも実は仕事が残ってまして。出来れば片付けたいと思ってましたので……」 「じゃあ、目標17時で、もう少し頑張らせてもらっていいかな?」 「はい。あたしもちゃっちゃと片付けます」 それだけ言うと、あたしは会議室をあとにした。
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