1590人が本棚に入れています
本棚に追加
「和也のニューヨークでの仕事次第では、業界の流れが変わるんだよ」
「……」
和也さんは、そんな大きな仕事をしているんだ。あたしは驚きで言葉が出なかった。
「一応、隼人さんから、うちの会社の海外事業部もお声をかけていただいててね。
話が進めばかなり忙しくなるし、それまでに人材の確保と、育成をしておかないといけなくてね。ちょっと忙しいんだなこれが」
優輝さんは、笑いながらおどけて見せた。
「すごいですね……」
「和也が?」
「それもありますけど。皆さんが、ですよ」
「よかった。俺も褒めていただけて」
「優輝さんたら」
あたしたちは、目を見合わせて笑った。
「あっ、最近、美紅ちゃんが、海外事業部のお手伝いしてるって聞きました」
「あーっ、早川ね。そうなんだよ。彼女、英語が堪能でね。
この前、俺の居ないときに突然、取引先の外国のお客様がお越しになったときに、見事な語学力を発揮して接客したらしくてね。それから、手伝ってもらってるんだ」
「そうだったんですか」
「和也が居てくれたときは、お任せでよかったんだけど……。和也の抜けた穴は大きいよ」
「……」
ぽつりと呟く優輝さんの言葉に、あたしは淋しいような、うれしいような気持ちになった。
最初のコメントを投稿しよう!