ずっとそばにいてくれたね 第28話

12/40
前へ
/40ページ
次へ
恋人同士が、テーブルで見つめ合いながら手を握りあっている。 思わず赤面しながら優輝さんへと視線を戻した。 「握る?」 恥じらうあたしの前に、優輝さんは手を差し出した。 「では、ご遠慮なくって、何ごっこですか!?」 「恋人ごっこ?」 「なっ!?」 「クスクスッ……冗談だよ」 優輝さんは、肩を揺らして笑った。 「からかわないでください」 「ごめんごめん。ノリツッコミも出来るようになったんだ?成長したね、璃子」 「あーっ!酷い!!完璧遊んでるでしょう!?」 「ごめんごめん。アハハハ……」 優輝さんは、本当に楽しそうに笑っていて、思わずあたしもつられて笑った。 なんだか気づかないうちに肩に入っていた力が、スッと抜けてゆくのを感じた。 「お待たせ致しました」 注文したお料理が次々と並ぶ。それを、あたしたちはふたりで取り分けながら舌鼓を打った。 「うわぁ~美味しい」 「だろ?時々食べたくなるんだよね」 「そんな時は、どなたといらっしゃるんですか?」 「今夜は、璃子と来てるよ」 「じゃなくって! ペロッとお相手の名前をいっちゃうかと思ったんですけど……。やっぱりあたしじゃ聞き出せませんね」 「まぁ、まだ璃子には負ける気がしないな」 「もぉーっ。もし、優輝さんに彼女が出来たら、こっそり教えてくださいね」 「和也よりも先に!?」 「そっか。やっぱり、順番的に、あたしは最後ですね」 「クスクスッ……そんな日が来たら、ちゃんと紹介するよ」 「約束ですよ!」 「はいはい」 あたしと優輝さんは、吹き出して笑った。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1496人が本棚に入れています
本棚に追加