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恋人同士が、テーブルで見つめ合いながら手を握りあっている。
思わず赤面しながら優輝さんへと視線を戻した。
「握る?」
恥じらうあたしの前に、優輝さんは手を差し出した。
「では、ご遠慮なくって、何ごっこですか!?」
「恋人ごっこ?」
「なっ!?」
「クスクスッ……冗談だよ」
優輝さんは、肩を揺らして笑った。
「からかわないでください」
「ごめんごめん。ノリツッコミも出来るようになったんだ?成長したね、璃子」
「あーっ!酷い!!完璧遊んでるでしょう!?」
「ごめんごめん。アハハハ……」
優輝さんは、本当に楽しそうに笑っていて、思わずあたしもつられて笑った。
なんだか気づかないうちに肩に入っていた力が、スッと抜けてゆくのを感じた。
「お待たせ致しました」
注文したお料理が次々と並ぶ。それを、あたしたちはふたりで取り分けながら舌鼓を打った。
「うわぁ~美味しい」
「だろ?時々食べたくなるんだよね」
「そんな時は、どなたといらっしゃるんですか?」
「今夜は、璃子と来てるよ」
「じゃなくって!
ペロッとお相手の名前をいっちゃうかと思ったんですけど……。やっぱりあたしじゃ聞き出せませんね」
「まぁ、まだ璃子には負ける気がしないな」
「もぉーっ。もし、優輝さんに彼女が出来たら、こっそり教えてくださいね」
「和也よりも先に!?」
「そっか。やっぱり、順番的に、あたしは最後ですね」
「クスクスッ……そんな日が来たら、ちゃんと紹介するよ」
「約束ですよ!」
「はいはい」
あたしと優輝さんは、吹き出して笑った。
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