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「じゃあ、璃子の言いたいことをまとめると、渡グループの社長である隼人さんと、いち会社員の冴子の結婚は、あり得ないって事?」
「えっ!?冴子さんは……」
「冴子は?」
「……」
北川財閥のご令嬢じゃん!言えない言葉が、尚もあたしの発言を阻む。
「冴子は、なに?」
「……あの、やっぱりいいです」
あたしは、聞くのを諦め俯いた。
「じゃあ、今度は、俺から璃子への質問」
「はっ、はい」
「誰に聞いたのかな?」
「えっ!?」
「俺と冴子の個人情報?」
優輝さんの心を見透かすような鋭い眼差しが、グサリと刺さった。
「……」
マズイ……さっきの隼人さんと冴子さんの結婚の話が引っかけだったんだ。
……完敗だ。
「和也に聞いたんじゃなさそうだね」
「……」
言葉も出なければ、あたしは視線をさ迷わせた。
「秘書室で聞いたのでもないな」
「……」
優輝さんは、ゆっくりじわりとあたしの首を絞めてゆく。
「璃子は、誰に聞いたのかな~」
優輝さんは、ニヤリと笑った。
あたしは、ゴクリッと喉を鳴らした。
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