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頬杖ついて身を乗り出した優輝さんの瞳が、
『さぁ、吐け』
って言っている。
「おっ、お友達です」
「お友達?」
「はいっ」
「どこの?」
「えっ!?どこのって……」
優輝さんの瞳が、
『まだ言わないのか?』
って言っている。
嘘をついたら見破られるから、事実を並べて……
「1月ぐらいにお友達になったんです」
パーティーとか言っちゃうと、ややこしくなるし、この状況で麗香さんなんて言ったら、さらにマズイ気がして、なんとか必死に考えた。
「へぇーっ。仕事で?」
「そうです!仕事でです」
「ふーん。っで、誰なの?」
「優輝さんは、知らないかも……です」
「相手は俺と冴子の個人情報を知ってるのに?」
う゛っ……シマッタ!しくじった!!
「お待たせ致しました」
ナイスタイミングで、最後のデザートが運ばれてきた。
「うわぁ~美味しそう♪優輝さんいただきまぁす」
あたしは、スプーン片手に喜びながらチラリと視線を送ると、優輝さんは、
『仕方ない。今回は見逃してやるか』
って眼差しで見つめた。
あたしは、気づかないふりしてケーキをひと口食べた。
「璃子、バニラアイスひと口ちょうだい」
「いいですよ」
あたしは、ケーキに添えられていたアイスを取ろうとして、ふと手を止めた。
優輝さんは、あたしを窺うようにジッと見ていた。
「あのっ、優輝さんのコーヒーのスプーンでどうぞ」
「クスクスッ……残念。今夜は、間接キスは無しか。よくできました。ちゃんと成長してるじゃん。他の男にもそのくらい警戒心持てよ」
「大丈夫ですよ。二度もおんなじ手には引っ掛かりません!」
あたしは、照れながらも得意気に呟いた。
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