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「っで、和也とは連絡取れてるの?」
コーヒーをひと口飲んだ優輝さんは、長い足を組み、テーブルに頬杖ついて斜め下から見上げながら、あたしに言った。
「……はい。数日前に、少しでしたけど、1ヶ月ぶりに声を聞けました」
「よかったね」
「……はい」
恥じらいながら返事を返したあたしを、優輝さんは笑顔で見ていた。
「璃子」
「はい」
「和也の家も、俺と冴子のところも、家柄とか、条件とかは、結婚には関係ないよ」
「……」
逆質問からうまく逃れてホッとしていたあたしに、優しくゆっくり語るように、優輝さんは、あたしの質問に答えた。
「そりゃ、そういう条件を重んじる家庭もあるだろう。でも、和也の家も、俺と冴子のところも、そんな事よりも、もっと大切な事に重きを置いている家庭だよ。
だから、みんなそれぞれできちんと自立してる。
大切なのは、その人の付録じゃなくて、長い年月を、誰と助け合って、思いやって、生きていくかって事じゃないかな」
「……優輝さん」
「だから、和也は璃子を選んだんだと思うよ。璃子となら、笑いながら歩んでいける。璃子の為なら力を発揮出来る。乗り越えていけるって思ったんだと思うよ」
優輝さんの言葉は、あたしの感じていた不安を見事に一掃した。
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