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「慌てなくても、不安にならなくてもいいんだよ。
人は、みんな、1日1日、1分1秒成長してるんだ。だから、無理して背伸びしなくていいんだよ。
しっかり今を努力して生きている璃子のままでいいんだ。
和也は、そんな努力をしている璃子の1年後、5年後が楽しみなんだよ」
優輝さんに、まっすぐに向けられる眼差しと言葉は、あたしの心を癒して救う。
「……」
「なんてなっ。ほらっアイス溶けちゃうよ」
優輝さんは、ニコッと照れ隠しのような笑顔を向けた。
あたしは、涙が出そうだったのを必死に飲み込んだ。喉の奥が塞がって声が出ない代わりに、小さく頷いた。
「おっ、キラーンより効果ありかな!?」
優輝さんは、照れ隠しなのか?あたしを笑わせようとからかった。
「スゴすぎですよ。せめてケーキ食べ終わってからにしてほしかったです」
「よし。これは有効っと」
優輝さんは、笑いながら手のひらにメモをとるふりをした。
「たくさん技をお持ちなのは解るんですが、あたしで試すのやめてください」
優輝さんが空気を明るくしようとしているのが解ったあたしは、笑いながら言い返した。
その時、あたしの携帯のメールの着信音が鳴った。
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