ずっとそばにいてくれたね 第28話

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「璃子、まさか知り合い?」 「えっ!?ちがっ、違います。全然、全然知らない人でした」 ぶんぶんと必要以上に頭を振った。 「フッ……まぁ、そうだよな。ニューヨークに行ってる璃子の知り合いって言ったら、和也ぐらいだろ?」 「アハハハ……」 その和也さんの写真でしたなんて、現状もうまく理解出来てないのに言えなくて、あたしは乾いた笑い声をあげた。 「いくら世間は狭いと言っても、和也に限ってそれはないな」 「ええ。そうですよ。こんなに世界は広いんだから、かぶるはず無いじゃないですか」 「かぶる?」 「へっ!?」 マズイ。動揺と混乱が、口を開けば開くほど、おかしな会話を生み出してゆく。 「璃子?」 「そっ、そろそろ帰りましょうか?」 あたしは、逃げたい一心で言っていた。 「えっ!?あぁ、そうだな。すっかり遅くなったな」 突然のあたしの言葉に、さすがの優輝さんも一瞬驚きの表情を見せた。 仕方がない。たった今まで楽しく会話をしていながら、写真見たあと、すぐに帰ろうだなんて。 あたしの動揺は、この場の空気までも乱していた。 「すっ、すいません」 連れてきていただいてるのに、いきなり帰りたいなんて失礼な発言をしてしまった事に、胸が痛んだ。 ただ、今のあたしには、これ以上、平静を保てる自信なんてなかった。 次から次へと頭の中に浮かぶ質問の嵐を、なんとかシャットアウトするだけで精一杯だった。
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