ずっとそばにいてくれたね 第28話

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「あのっ、あたしも払います」 お会計をする優輝さんに声をかけた。 「いいんだよ。お昼ご飯をおごってもらったお礼と、無理やり俺につき合ってもらったお礼だから」 「あのっ、でも」 「璃子、これ以上、恥かかせるな」 優輝さんは、ニコッと笑った。 「ありがとうございます。ごちそうさまでした」 「どういたしまして。でも、由香里や冴子には言うなよ、アイツらにバレたらたかられるから」 ニヤッといたずらっぽく笑う優輝さんと、目を見合わせて笑った。 ホテルを出て走り出した車の中から、ゆっくりと流れる夜の街並みを、あたしはぼんやりと眺めた。 まだ、考えちゃいけない。 まだ、思い出しちゃいけない。 あたしは、ギュッと鞄の持ち手を握りながら必死に平静を装っていた。 エントランス前に車が横付けされた。 「明日から仕事だな」 「そうですね」 「璃子、お休みなかっただろう?」 「まだまだ新人ですから。優輝さんも、ずっとお仕事されてたじゃないですか」 そんなたわいもない会話を交わしながら、シートベルトを外した。 降りようとドアノブに手をまわしかけたあたしの右手首が、ぐっと掴まれた。
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