ずっとそばにいてくれたね 第28話

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そうだ、いろいろ考えてないで電話すればいいんだよ! 和也さんに聞けばいいんだよ! 思わず手の中の携帯をギュッと握りしめた。 でも、今は、仕事中だよ。 おまけに、浮かんでくる言葉は、どちらかと言えば責める言葉ばかり。なんて言ってかけるの? それに、あっさり認めた上に「ごめん璃子別れよう」なんて電話口で言われたら……耐えれる? じゃあ、メールを送ろう! でも、何時間も返事待ってられる?もし、返事も来なかったら? 行動を起こそうとするあたしを、もう1人のあたしが引き止める。 あたしは、この1ヶ月、気がつかないうちに頑張りすぎていたのかもしれない。 「声が聞きたい」ってメールしたら、絶対に和也さんなら折り返し必ず連絡くれただろうに。 でも、他の明るいメールは打てても、肝心な心の叫びである、たったその数文字を打つことも、送ることも出来ないくらいに、あたしは、気がつかない間に我慢を重ねていたのかもしれない。 あたしは、我慢の仕方を覚えた代わりに、和也さんとのコミュニケーションの取り方を、忘れてしまっていた。 「なん、で……?」 どう考えても答えの見つからない心が、苦しくて堪らなくて悲鳴をあげた。 「ど、して……?」 言葉に出してしまった弱音が、少しずつ心のバランスを崩す。 携帯の中で微笑む和也さんが、ゆっくり、じわりと滲み、ツーッと、涙が零れ落ちた。
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