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午後になり、一段落ついたあたしは、遅めのお昼休憩をとった。
当然、食欲なんて無くて、コーヒーを片手に窓辺のカウンター席についた。
充電の完了した携帯を見ると、メールが2件届いていた。
1件は、携帯会社からの着信通知。中を開くと和也さんからだった。
えっ……どうしてこんな時間に電話くれたんだろう?
不思議に思いながら、もう1件のメールに目を通した。
……えっ!?
両方とも和也さんからのものだった。
昨日までのあたしなら、間違いなく大喜びで飛び付いていた電話とメール。しかし、今のあたしは、メールを開くのにも勇気がいった。
『璃子、元気にしてるかな……』
メールは、いつもよりも長めで、あたしの様子を窺う言葉たちが並んでいた。
噛み合っているようで、噛み合わないメール。なんで、今、このタイミングで?
和也さん……どうして?
弱りきった心は、なかなか素直になれなくて、その裏に隠された真意を必死に探す。
そして、文面は、次のように続き、締め括られていた。
『今度の週末にでも、時間取って連絡するから、ゆっくり話をしよう。言いたいことや聞きたいことがあるんじゃないかな?お互いの気持ちを伝え合う時間を取ろう』
えっ……何を話すんだろう?
麗香さんとの縁談の事?それとも……別れ話?
和也さんの事だから、配慮に配慮を重ねてあたしに負担がかからないように真実を伝えるつもりなんだろう。
そんなの……嫌だ!
すでに『恐れ』の感情に捕らわれている心は、和也さんの言葉を素直に受け入れる事なんて出来なかった。
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