ずっとそばにいてくれたね 第28話

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スゴいなぁ…… きっと、人生の大先輩である藤井さんには、もがいた後の成長したあたしの未来が見えているのかもしれない。あたしの悩みなんて取るに足らない事なのかもしれない。 もっと苦しい思いを経験されたのかもしれない。 あたしもにもいつか、この苦しみを笑える日が来るんだろうか? 大先輩の励ましに救い上げられた心が、冷静さを取り戻す。 しかし次の瞬間には、 その時、あたしのそばには誰がいるんだろう? と、見えない未来に怯えた心が、ズブズブと沈んだ。 あたしは、瞬時に変わるたくさんの感情に振り回されていた。 気がつけば、9月を迎えていた。 週末に時間を取ってと話していたが、神さまのイタズラなのか?結局、和也さんとあたしのタイミングは合わなかった。 そして、あたしはもがき苦しみながらも、和也さんに心の動きを悟られないように当たり障りのないメールを送り続けた。 和也さんからは、相変わらず『縁談』を微塵も感じさせない優しさに満ちたメールが届き、それが返ってあたしの心を傷つけ、深い闇へと誘(いざな)った。 そして、ついに和也さんの帰国の日が近づいた。 『璃子、今から飛行機に搭乗するよ。もうすぐ逢えるね。日本には午前中に着くけど、打ち合わせとかがあるから、時間が取れそうにないが、パーティーが終わったら、すぐに部屋に行くから、先に寛いで待ってて』 あたしがパーティーに出席する事を、本当に知らされていない和也さんからのメール。 みんなのサプライズは成功するんだろうか? 本当は、もう必要のないサプライズなんじゃないだろうか? 本当に、和也さんは、あたしに逢うことを喜んでくれるんだろうか? 『恐れ』で凝り固まった心は、すでに冷静な判断も出来なくなっていた。
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