ずっとそばにいてくれたね 第28話

4/40
前へ
/40ページ
次へ
優輝さんの車に乗り込み寺坂さんのお店に向かう。 「連れて行っていただいてありがとうございます」 「いいんだよ。俺もスーツ新調したから、一緒にあわせに行ってるだけだから」 「まだ、スーツ新しくなかったですか?」 「あぁ。一応、会社の代表で出席する事が多いから、同じものばかりではちょっとあんまりだから、少し違うタイプのものをお願いしたんだ」 「そうなんですか……」 会話をしながら、あたしの脳裏には、麗香さんに聞いた『白石物産の次男』というフレーズが頭を過ぎった。 車を駐車して、和也さんと来た時と同じようにエレベーターで10階の社長室へと向かった。 エレベーターが開くと、「白石様いらっしゃいませ」と、前回と同じベテランの女性の方が、品のいい挨拶で迎えた。 「おおっ優輝久しぶり」 「寺坂さんご無沙汰しています」 「時々は、顔を見せろよ」 「はい。すいません」 大学の先輩後輩らしいふたりは、仲良く挨拶を交わした。 「璃子ちゃんもお久しぶり」 「寺坂さんお久しぶりです」 「和也がいなくて淋しくない?」 「それなりに……」 「そんな時は、すぐに連絡してよ。お兄さんが、ご飯食べに連れていってあげるから」 「あはは……。ありがとうございます」 ウインクしながら言う寺坂さんに、あたしは乾いた笑顔で笑った。 「じゃあ、さっそく璃子ちゃんのドレスなんだけど……矢田さんお願いします」 そう言うと、寺坂さんはベテランの女性の方に合図を送った。 あたしのドレスは、用意されていたようで、すぐに持ってこられた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1497人が本棚に入れています
本棚に追加