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優輝さんの車に乗り込み寺坂さんのお店に向かう。
「連れて行っていただいてありがとうございます」
「いいんだよ。俺もスーツ新調したから、一緒にあわせに行ってるだけだから」
「まだ、スーツ新しくなかったですか?」
「あぁ。一応、会社の代表で出席する事が多いから、同じものばかりではちょっとあんまりだから、少し違うタイプのものをお願いしたんだ」
「そうなんですか……」
会話をしながら、あたしの脳裏には、麗香さんに聞いた『白石物産の次男』というフレーズが頭を過ぎった。
車を駐車して、和也さんと来た時と同じようにエレベーターで10階の社長室へと向かった。
エレベーターが開くと、「白石様いらっしゃいませ」と、前回と同じベテランの女性の方が、品のいい挨拶で迎えた。
「おおっ優輝久しぶり」
「寺坂さんご無沙汰しています」
「時々は、顔を見せろよ」
「はい。すいません」
大学の先輩後輩らしいふたりは、仲良く挨拶を交わした。
「璃子ちゃんもお久しぶり」
「寺坂さんお久しぶりです」
「和也がいなくて淋しくない?」
「それなりに……」
「そんな時は、すぐに連絡してよ。お兄さんが、ご飯食べに連れていってあげるから」
「あはは……。ありがとうございます」
ウインクしながら言う寺坂さんに、あたしは乾いた笑顔で笑った。
「じゃあ、さっそく璃子ちゃんのドレスなんだけど……矢田さんお願いします」
そう言うと、寺坂さんはベテランの女性の方に合図を送った。
あたしのドレスは、用意されていたようで、すぐに持ってこられた。
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