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「知ってるわよ初めから。だから?」
あたしの決死の告白は、動じる事なく、凛と気高く咲く薔薇のような麗香さんに、さらりとかわされた。
えっ……知ってたの!?
初めからって、どこから!?
あたしの思いや考えは、麗香さんのひと言に、ことごとく覆されてゆく。
麗香さんは、動揺するあたしに、さらに続けた。
「和也さんとお付きあいされたい方なんてたくさんいらっしゃるのよ。専務というお立場ですもの、そんなお相手がいらっしゃるのも当然だし、私は、気にもならないわ」
「……」
堂々たる態度は、婚約者そのもので、とても太刀打ち出来るものでなかった。
「璃子さんは、まっすぐな方だから、勘違いなさったのね。わかるわ、和也さん素敵ですものね」
麗香さんは、あたしの事を労いながら、フッと微笑み、柔らかな眼差しであたしの薬指のリングを追いかけた。
あたしは、思わず右手でぐっと左手のリングを握った。
……和也さん!?
会話の整理が追いつかないあたしに、麗香さんは、さらに続けた。
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