◇◇ 第38章 崩れる心 ◇◇

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「璃子さん」 麗香さんは、少し間を取ると、諭すように続けた。 「……はい」 「きちんとご理解いただけていないようだから、すべてを話して差し上げるわね」 「……」 麗香さんは、ゆっくり微笑みを浮かべた。 「私と和也さんの結婚は、筆頭株主である和也さんのお祖父様と青木グループの総帥である父との間で約束されていた事であり、和也さんの専務就任も、それを前提に進められてきた事なのよ」 初めて聞かされる事実?に、あたしは何も言えずにただ麗香さんを見つめていた。 「なぜ、今、ニューヨークで和也さんが苦労されてるか解っていらっしゃる? 急に現れた璃子さん、あなたの存在の為に、和也さんは、専務就任早々に、海外に飛ばされたのよ」 ……あたしのせい!? 想定外に投げ掛けられる話の数々。 和也さんのお祖父様である筆頭株主ですら認め、望んでいるという麗香さんとの結婚話に、必死に走り回っていたあたしの思考も、はたと動きを止めた。
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