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「璃子さん」
麗香さんは、少し間を取ると、諭すように続けた。
「……はい」
「きちんとご理解いただけていないようだから、すべてを話して差し上げるわね」
「……」
麗香さんは、ゆっくり微笑みを浮かべた。
「私と和也さんの結婚は、筆頭株主である和也さんのお祖父様と青木グループの総帥である父との間で約束されていた事であり、和也さんの専務就任も、それを前提に進められてきた事なのよ」
初めて聞かされる事実?に、あたしは何も言えずにただ麗香さんを見つめていた。
「なぜ、今、ニューヨークで和也さんが苦労されてるか解っていらっしゃる?
急に現れた璃子さん、あなたの存在の為に、和也さんは、専務就任早々に、海外に飛ばされたのよ」
……あたしのせい!?
想定外に投げ掛けられる話の数々。
和也さんのお祖父様である筆頭株主ですら認め、望んでいるという麗香さんとの結婚話に、必死に走り回っていたあたしの思考も、はたと動きを止めた。
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