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さすがグループお抱えのお医者様だけあって、打ち付けたところがないか、丁寧に診察してくれた。
膝も擦りむいていて、血が滲んでいたところも、消毒してくれた。
「眠れてますか?」
「……」
「食べれてますか?」
「……」
問診には、うまく答えられなかった。
「悩みがあるようでしたら、後日、内科にでもご相談されてくださいね」
「……ありがとうございます」
さすがに踏み込んではこないものの、何かを感じたお医者様は、微笑みながらあたしに伝えた。
そして、優輝さんを見上げて言った。
「今夜はお仕事ですか?」
「いいえ」
「でしたら、打ち身に関しては大丈夫ですが、かなりお疲れのようですので、このまま連れて帰って、少しでも早く自宅でゆっくり休ませてあげてください」
「わかりました」
お医者様と、優輝さんが会話を交わす。
あたしは、まるで三者面談の高校生のように、心苦しかった。
「それじゃあ、璃子行こうか?」
「……はい」
拓にぃの出現と、お医者様とのクッションで、優輝さんとの間に漂っていた気まずい空気が取り払われていた。
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