◇◇ 第38章 崩れる心 ◇◇

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さすがグループお抱えのお医者様だけあって、打ち付けたところがないか、丁寧に診察してくれた。 膝も擦りむいていて、血が滲んでいたところも、消毒してくれた。 「眠れてますか?」 「……」 「食べれてますか?」 「……」 問診には、うまく答えられなかった。 「悩みがあるようでしたら、後日、内科にでもご相談されてくださいね」 「……ありがとうございます」 さすがに踏み込んではこないものの、何かを感じたお医者様は、微笑みながらあたしに伝えた。 そして、優輝さんを見上げて言った。 「今夜はお仕事ですか?」 「いいえ」 「でしたら、打ち身に関しては大丈夫ですが、かなりお疲れのようですので、このまま連れて帰って、少しでも早く自宅でゆっくり休ませてあげてください」 「わかりました」 お医者様と、優輝さんが会話を交わす。 あたしは、まるで三者面談の高校生のように、心苦しかった。 「それじゃあ、璃子行こうか?」 「……はい」 拓にぃの出現と、お医者様とのクッションで、優輝さんとの間に漂っていた気まずい空気が取り払われていた。
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