◇◇ 第38章 崩れる心 ◇◇

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和也さんの就任披露パーティー当日を迎えた。 化粧をし、ドレッサーの前で、寺坂さんに言われた通りに、冴子さんに習った方法で髪を巻き上げて髪止めでとめた。 ドレスを着て首の後ろにくる大きなリボンを綺麗に広げながら結ぶ。 そして最後に、いつものお気に入りのバラの香水をふり、ドレスに合わせた色のルージュをひき、村上姉さんに借りたグロスで、艶をプラスした。 「……出来た」 あたしは、そっと呟いた。 鏡の中のあたしは、少し痩せたせいで、ドレスはちょっとゆるくなり、顔は少し自信無さげな表情。 それでも、みんなに手を加えられて出来上がったあたしは、いつもよりも綺麗に仕上がっていた。 和也さんに『綺麗だよ』って言ってほしくて、例えどんな結果でも、『綺麗だ』って思ってほしくて、鏡の前で微笑んだ。 「大丈夫だよ」 鏡の中の自分に、そっとエールを送った。 少し背伸びしたヒールは、いろいろあったせいで、その存在を忘れ、思い出した2日前から廊下で練習した。まだ、グラつくけれど、それでも初めの頃よりは、だいぶマシになった気がする。 17時になり、優輝さんとの約束の時間を迎え、マンションのエントランスに降りた。 早めに来てくれていた優輝さんが、あたしに気づいて車から降りて出迎えてくれた。
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