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「優輝、その写真見たのか?」
「いいや。見せてもらおうと思って、声をかけたら慌てて携帯を鞄にしまい込んだんだ。
和也が言う、メールがおかしくなった時期とも一致する」
「まさか……」
『お相手の写真』と聞いて、今度は拓巳が反応した。
そして、ジッと俺を見た。
「いや、違うだろ」
「何が、だ?」
俺と拓巳の態度に、隼人が尋ねる。
「この前、ニューヨークで社長命令で食事の接待をしただろ?あの時に、ちょっと油断して写真を撮られたんだ」
「誰に?」
「もちろん青木麗香だ」
俺が吐き捨てるように言った後、優輝が続けた。
「そのお友達とやらは、ご丁寧に、俺と冴子の個人情報も璃子に聞かせてくれてたぞ。
俺が白石物産の息子って事も、冴子が北川財閥の娘って事も璃子は知っているようだった」
「何よそれ?」
冴子が呆れたように言った。
「恐らく、俺が先代からのシガラミを断ち切ろうとしている事を青木の親父が勘づいたんだろう。
ここ最近の青木グループの動きは明らかにおかしい。
それに、青木の親父の会社は、最近あまりいい噂が無くてな……
俺たちの仕事をしづらくしているまさに元凶と言ってもいい」
隼人は、さらに続けた。
「黙っていたが、実は、パーティーの最中に、青木の親父が、和也と麗香の縁談話を勧めてきた。
和也と麗香が一緒になれば、うちも、渡グループも安泰だと、高笑いしていやがった。
ただ、俺は和也と璃子ちゃんとのことを解っているから、『専務はまだ、仕事最優先でそれどころではない』と、断りをいれたんだが……」
思わず5人で目を合わせた。
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