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「すいません。お待たせしました」
「いいや。今来たところだよ」
優しく微笑む優輝さんと視線を交わす。
「優輝さん?」
あたしは、ジッと見つめたままの優輝さんに声をかけた。
「ごめん。見とれてた」
「えっ!?」
「とても綺麗だ」
「……っ!?」
恥ずかしげもなくサラリと言っちゃう優輝さんに、思わず真っ赤に染まってゆくのがわかった。
「やっ、やめてください!営業トークは要らないんですよっ」
「素直な気持ちを伝えただけだよ」
「もぉーっ!優輝さん!」
ニヤリとイタズラっぽく笑う優輝さんに、思わず、ふっと笑顔が溢れた。
「化粧のノリもバッチリだね。早川に聞いたよ。昨日、エステに行ったんだろ?」
うっ……。
みっ、美紅ちゃんったら、そんな事まで優輝さんに言っちゃってるなんて。
「今さらなんですけど……」
言葉に詰まりながら、下を向いて呟いた。
「いいんじゃない?」
「えっ!?」
「好きな男の為に努力するのって、俺は好きだよ。和也、惚れなおすだろうな」
「……優輝さん。だから、営業トークはやめてください!」
優輝さんは、縁談の事を知らないんだろうか?
だとすれば、和也さんは、まずはあたしときちんと話そうとしてくれているんだろう。
自然な会話であたしを和ます優輝さんに、そんな思いが脳裏を過った。
「クスクスッ……では、お姫さま参りましょうか?」
「あっ、はい、よろしくお願いいたします」
エスコートされ、あたしは、開けられた扉から助手席へと座った。
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