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「俺が、璃子に直接、全てを確認するには、時間がなさすぎる。
しかも、青木親子の今後の行動は予測不能だ。
今、最優先に取るべき対策は、璃子と麗香の接点を完全に断ち切る事しかない!
素直な璃子は、別れたフリなんて出来る子じゃない。
俺が、璃子のそばに居てやれない以上、心の距離を埋めることも出来ないし、癒してやることも出来ない。
辛いが、ここは、俺がニューヨークから戻って来るまでの間、璃子との距離を取る事が、璃子を守る最善策としか言いようがない」
俺は、静かに話した。
「和也の気持ちは十分解った。
俺たちも、お前が戻って来るまでの間は、璃子ちゃんには青木グループとの確執はもちろん、この件に関しては一切触れない事にする。
和也が、そう決めた以上、俺たちに出来る事は、ふたりを見守ってやることだけだ」
「……なんだか切ないわ」
「仕方がないさ。とりあえず、和也が戻るまでは、璃子ちゃん自身が、この試練を乗り越える事を信じなくてはね」
隼人は、そっと冴子に微笑んだ。
隼人の言葉が、胸に染みた。
「じゃあ、今夜は解散だな」
隼人が、みんなに声をかけた。
「みんなありがとう。心配かけて済まない」
俺は、頭を下げた。
立ち上がった隼人が、俺の肩をポンッと叩いて部屋を出ていった。
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