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会場であるいつもの有名ホテルの駐車場に到着した。一応準備したお泊まり用の荷物の入った鞄を優輝さんが持ってくれ、フロントへと預けた。
いざ受付へ。
緊張で、背筋がピンと伸びる気がした。
上階の会場へ向かうためにエスカレーターに乗る。まだヒールでの歩みがグラつくのがわかったのだろう。優輝さんが、落ちないようにそっと腰の後ろに腕を回してくれた。
少しずつ昇るエスカレーターは、まるでジェットコースターの最初の昇りのように感じた。
上り詰めた先には、いったい何が待っているのだろうか?
ガタンガタンと大きな音をたてるかのように脈打つ心臓が、あたしの緊張をマックスへと誘った。
会場前には、前回の新年パーティーの時以上の、多くの人だかりが出来ていた。
それだけでも、今回のパーティーの規模の大きさと期待の大きさが伝わってくる。
「準備はいいかな?」
優輝さんの優しい言葉と眼差しが降り注がれる。
「……はい」
あたしは、小さく頷いた。
会場の中に入ると、そうそうたるメンバーが顔を連ねていた。
渡グループの専務。
頭では解っていた……つもりだった。
しかし、あたしは、予想以上の現実を突きつけられ、思わず、足を止め、立ち止まった。
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