◇◇ 第38章 崩れる心 ◇◇

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******** 「専務就任おめでとうございます。いやぁ、グループも安泰ですなぁ」 「ありがとうございます。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」 俺は、会場内に気を配りながら、決まりきった挨拶に囲まれ、それなりの立ち居振舞いでやり過ごしていた。 あっ……優輝? 会場の入口から入ってくる優輝に視線がとまる。 仕事で招待されてたのか。さりげなく流した視線が、目立つ優輝を捕えた。 しかし、本当に視線が奪われたのは、その隣に立つ女性に、だった。 ……璃子! 長い髪は巻き上げられ、透き通るほどの白い肌に、朱色の品のいいドレスが映える。 持ち前の柔らかな空気とオーラが、砂漠の中のオアシスのように、ざわつく会場内で、輝きを放っていた。 あぁ……璃子。 2ヶ月ぶりに見る璃子は、とても美しく綺麗で、砂漠の遭難者が、オアシスを見つけたような、感動と衝撃を受けた。 「頑張ってくれてる専務に、プレゼントを用意してみましたが?気に入っていただけましたかな?」 心ごと奪われている俺を見透かした隼人が、耳元で小声で呟く。 「なっ!?」 照れを隠しながら、平静を装い隼人に振り返った。 「いかがでしょうか?」 すべてを見透かした隼人が、ニヤリと笑った。
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