ずっとそばにいてくれたね 第31話

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「くぅーーーっ染みるぅーーー」 引っ越しで、うまく水分補給が出来ていなかったあたしは、喉を潤しながらゴクゴクと飲んで呟いた。 「お前飲めるようになったの?」 飲みっぷりを微笑ましく見ていた拓にぃが聞く。 「うんっ!練習したのよ。少しぐらいは飲めた方が良いって言われてっ」 「誰に?」 ……うぐっ。 ――和也さんに そんなこと拓にぃには言えない。 「誰だったかなぁ~?」 ゆっくりと視線を泳がせながら、もうひと口飲んだ。 「へぇーっ」 拓にぃからは、乾いた返事が返された。 シラッと空気が乾いて、居づらい雰囲気が漂った。 「はいっ。小鉢とサラダ。あと、いつものおばちゃん特製タルタルチキン南蛮!」 ナイスなタイミングで、おばちゃんが、あたしと拓にぃの前に、お皿をコトリッと置いた。 「おっ、待ってました」 「あたしも!これ絶品だからねっ」 お互いに感じていた空気だったのだろう。 払拭するかのように、ふたり同じタイミングで、おばちゃんに相槌を打った。 「あら、ありがとっ」 喜ぶおばちゃんを前に、あたしは、特製タルタルをちょっと摘まみ食いした。
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