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あたしは、村上姉さんを見ながら、自分を省みていた。
こんな風に、麗香さんとの事も、少しずつ相談しながら吐き出してればよかったんだろうな……
結局、誰にも言えなくなるほどに問題が大きくなるまで温めてた結果がこれだ。
初めて聞いた村上姉さんの弱音は、あたしに、どうすればよかったのか教えてくれているようだった。
「村上姉さん、ごちそうさまでした」
「次は、璃子の奢りだからっ」
「了解しましたっ!」
「2秒で集合だからっ!」
「駆けつけます」
ほろ酔いのあたしたちは、お店の前でご機嫌で会話を交わした。
「落ち着いたら連絡しなさいよ」
「はいっ!」
あたしたちは、別れを惜しむように、お互いに向かいあったまま一歩ずつ後ろに歩みを進めた。
「なんかあったら連絡しなさいよ」
「はいっ。村上姉さんもねっ」
「もちろん」
一歩ずつ、一歩ずつ離れる……
「おやすみっ!」
「おやすみなさい!」
少しずつ暗くて表情が見えなくなる……
「村上姉さん!……惚れちゃいますっ!!」
「ダメよ。あたしは、坂本さんのものなんだからぁ!」
「大好きでーす♪」
「……バカ璃子ぉ~っ!」
あたしたちは、小学生のように声を掛け合いながら大きく手を振りあった。
あたしの瞳からは、止めどなく大粒の涙が零れ落ちていた。
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