ずっとそばにいてくれたね 第31話

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「もしもし?」 思わず父の声に、緊張マックスで声が詰まった。 「……」 「もしもし?」 「……あ、お、お父さん」 「璃子?」 「あ、うん、あたし……お母さんいる?」 「拓巳くんの家に行ってるよ」 「あー……そっか」 「璃子、何かあったのかな?」 うちの父親は、仕事柄か?こういう時、めちゃめちゃ鋭い。 「……」 緊張で声が出ない。 「璃子?」 あたしは、怒られる覚悟を決めた。 「……あの、お父さん、あのね。実は、ちょっと、会社でミスをしまして……」 「そう。それで?」 「……責任を取りまして、辞めました」 ……言っちゃった。 とりあえず、ひとつ目を吐き出したものの、鼓動が早まり、変な汗が出てきた。 「そうか。大変だったな」 「えっ……」 拍子抜けするほどのあっさりとした返答に、伝えたあたしが驚いた。 「それで?どうするんだ?」 父親は、尚も穏やかに尋ねる。 「えっ、あっ、あの、それで、社長が次の働き口を紹介してくださって、そこに行ってみようと思って……」 「そうか」 「それで、あの、実家に戻ろうか、と……」 「そうか」 「……いいかな?」 「璃子、キミの家だよ。いつでも戻っておいで」 「……」 涙が止まらなかった。 「戻ってくる日が決まったら、母さんに連絡しなさい」 「……はい」 「楽しみにしてるよ」 父は、そう言うと電話を切った。
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