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Trururu……Trururu……♪
私の携帯が鳴っている。
「はい」
「青木麗香さまでいらっしゃいますか?」
「ええ、そうよ」
私はソファーからゆっくり立ち上がると、窓辺に立ち、レース越しにお庭の景色を眺めた。
「ご依頼の件で、ご報告の連絡をさせていただきます」
「ええ、どうなったのかしら」
「ターゲットが、会社を退社した事は、すでに報告済みですが、先程、マンションからの引越も完了致しました」
「そう。どなたかご一緒だったのかしら?」
「いいえ。おひとりでした。
退社以降、お相手の方とも、他の方とも、接触はもちろん、連絡を取り合っている様子はございません」
「そう。それで、どちらに引っ越されたのかしら?」
「親元に戻りました」
「そう」
「今後はいかが致しましょうか?調査継続ですか?」
「いいえ、もう十分よ。ありがとう」
「畏まりました。また何かございましたらよろしくお願いいたします」
私は、そっと通話を切った。
「意外と早く片付いたわね……」
私はそっと微笑んだ。
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