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2階の自分の部屋に向かう。
時折帰省していたけれど、和也さんと生活するようになってからは、すっかりご無沙汰だった久しぶりの自分の部屋。
開かれた扉から中を覗く。
窓から心地よい風が入ってきていて、ふわりとレースのカーテンが揺れていた。
6畳のお部屋には、ベッドと小さな整理ダンスと、真ん中に小さなテーブルが置かれ、壁側には段ボールがひと所に山積みされていた。
扉から入ったまんま、そのままあたしは、テーブルの前に、ちょこんと座った。
「はぁーーーっ」
一気に疲れが出始め、あたしは、大きなため息をついた。
ゆっくりと、持って帰ってきたトートバッグの中を漁る。
中から、写真立てとカップの包みを取り出した。
包みから丁寧に取り出すと、テーブルの上にそっと置いた。
写真の中のあたしは、幸せいっぱいの表情で和也さんを見上げて、見つめあっている。
なんだか、和也さんとの生活が、夢物語だったのかと思うような錯覚に陥る。
あたしは、そのまま、ぼんやりと写真を見つめていた。
トン、トン、トン……
開いているはずの扉がノックされ、あたしは、テーブルに写真立てを伏せながら、ゆっくりと振り返った。
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