ずっとそばにいてくれたね 第31話

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「よっ!」 「へっ!?」 そこには、笑顔の拓にぃが立っていた。 「何で居るの!?」 「何で!?はないだろ。俺んち隣だし」 「あぁ、そうか。って、意味違うし!」 あたしの驚きとは違い、落ちついた拓にぃが言葉を返す。 「俺、明日からニューヨークだから。こっからの方が空港まで早いだろ」 「……そっか」 ――聞かなきゃよかった。 一瞬、凍りかけた空気を拓にぃが破る。 「っていうか、璃子、何でお前がここに居るんだよ?」 「えっ!?それは……」 「あっ!返品か!?」 「なっ!?ちが、違うし!」 勢いよく心に斬り込んでくる拓にぃに、思わずムキになって言い返す。 「じゃあ、何で居るんだよ」 「あー……、ミスしたのよ」 「ミス?どんな?」 拓にぃとの軽快な会話に、思わずなんでも話してしまいそうになる。 「えっ!?い、いいじゃんそんな事。 ミスしたから、責任取って会社辞めたのっ!」 「なんだ!?璃子のくせに、その政治家みたいな責任の取り方は?」 「なっ!?くぅーーーっ」 敵わない!小さい頃からそうだけど、拓にぃには、口では勝てない。 いつの間にかベッドに座っている拓にぃが、ホレッなんとか言ってみろって顔して見ている。 「もういいよ。拓にぃには、解んないって」 あたしは、最終戦法の『ふて腐れ』に打って出た。 「クックックッ……わかったわかった悪かった」 拓にぃは、あたしの頭の上にポンッと手を置くと、笑いながらあたしの顔を覗き込んだ。 あたしは、ジトーッと睨み上げた。
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