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「飯行こっ」
「えっ!?」
「飯!ほらっ、お前好きだっただろ?あそこの焼き鳥屋のおばさんとこに行こっ」
「えっ、でも……帰って来たばっかりだし……」
「さっき来たとき、璃子のおじさんとおばさんには食事に連れていく許可取ってるから。なっ、行こっ」
拓にぃは、あたしの気持ちを察してくれていて、父と母にうまく話をつけてくれていたのだろう。
さりげない優しさが、染みてくる。
「……うん、じゃあ」
「ヨシッ、行くぞっ」
拓にぃは、立ち上がって、あたしの腕を引き上げると立ち上がらせた。
子どもが、連れだって遊びに行く時のように、ふたりで階段を駆け降りた。
「お母さん、ご飯行ってきまぁす」
「あら、いってらっしゃい」
電話が終わっていたお母さんが、玄関まで見送りに出てきた。
「おばさん、ちょっと璃子借りますね」
「拓巳くんよろしくね」
母の言葉に、拓にぃは、手をあげて応えた。
「行ってきまぁーす」
あたしたちは、水撒きから戻った父と、母に手を振りながら家から出かけた。
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