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えへへ……なんて笑って、気まずい空気を追い払いながら伝えた。
「フッ。じゃあ、携帯は?」
拓にぃは、あたしの気持ちを察してくれたのか?会話を切り替えて続けた。
「どうせ鳴らないから大丈夫!」
「それで手ぶらかよっ。お前は小学生かっ」
「ムッ……」
あたしは、今度は『だんまり』戦法を繰り出した。
「コラッ、黙るな!」
拓にぃの声にチラッと視線を送る。バチッと合った視線に、お互いに吹き出して笑った。
笑いながら歩いていると、公園の前に出た。
「うわぁーっ懐かしい。遊具が小さく見えるよ」
「だなっ」
「ほんとっ、あの頃は楽しかったなぁ……」
思わず、マイナスの言葉が零れて、『しまった』と思った。
「そうか?遊具から落ちてびーびー泣いてただろ?」
「1回じゃん!」
ムキになってキッと睨めば、拓にぃが、おどけた表情をする。
20年のキャリアだろう。テンポの良い会話のキャッチボールは、あたしの心を軽くしていった。
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