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とりあえず、腕を回して身体を支え、店の外まで連れ出した。
「あらーっ、璃子ちゃんずいぶんと疲れてたのねぇ」
おばちゃんが見送りに出て来てくれていた。
「おばちゃん大丈夫よーっ」
ご機嫌な璃子が答える。
「ほら、璃子来い」
仕方なく俺は、おんぶの格好をした。
「クスクス……」
笑いながら璃子がおぶさった。
「拓巳くん大丈夫?」
「おばちゃん、コイツを背負ったキャリアは誰にも負けないよ」
「まぁね。でも、気をつけるんだよ」
「あぁ。ごちそうさまでした」
「おばちゃん、またねぇ~♪」
背負われた璃子が、うれしそうにおばちゃんに手を振った。
「あたしゃ、あんたたちを見てると、変わらない姿にホッとするよ」
「おばちゃんありがとっ」
微笑ましく見ているおばちゃんに、璃子が笑顔で答えた。
「ヨシッ、璃子行くぞっ」
「またおいでっ」
「はぁ~い」
俺たちは、おばちゃんの笑顔に見送られ歩きだした。
9月半ばの夜風は、少しだけ涼しく、火照った頬を優しく撫でた。
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