ずっとそばにいてくれたね 第31話

29/40
前へ
/40ページ
次へ
とりあえず、腕を回して身体を支え、店の外まで連れ出した。 「あらーっ、璃子ちゃんずいぶんと疲れてたのねぇ」 おばちゃんが見送りに出て来てくれていた。 「おばちゃん大丈夫よーっ」 ご機嫌な璃子が答える。 「ほら、璃子来い」 仕方なく俺は、おんぶの格好をした。 「クスクス……」 笑いながら璃子がおぶさった。 「拓巳くん大丈夫?」 「おばちゃん、コイツを背負ったキャリアは誰にも負けないよ」 「まぁね。でも、気をつけるんだよ」 「あぁ。ごちそうさまでした」 「おばちゃん、またねぇ~♪」 背負われた璃子が、うれしそうにおばちゃんに手を振った。 「あたしゃ、あんたたちを見てると、変わらない姿にホッとするよ」 「おばちゃんありがとっ」 微笑ましく見ているおばちゃんに、璃子が笑顔で答えた。 「ヨシッ、璃子行くぞっ」 「またおいでっ」 「はぁ~い」 俺たちは、おばちゃんの笑顔に見送られ歩きだした。 9月半ばの夜風は、少しだけ涼しく、火照った頬を優しく撫でた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1556人が本棚に入れています
本棚に追加