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璃子への連絡を、敢えて絶っているこの状況では、璃子が誰に会おうと、誰に心を惹かれ、癒されようと、俺が口出し出来る訳はなかった。
普通の男が相手なら、璃子が簡単に心を許すことはない。
だが、拓巳は、別だ。
拓巳の璃子に対する想いには、幼なじみ以上の重みを感じる。
自分と同じ、熱い想いを感じる。
「フッ……」
みっともない程に、心が乱されている自分に、笑いが零れた。
璃子……キミの事になると、どうしようもなく小さな自分が露呈するよ。
自分の心をどれほど占領し、どれほど自分が、キミにほだされているのかが解るよ。
璃子……
逢いたいよ……
……キミに、触れたい。
例えようも無いほどの胸の締め付けを味わいながら、ジントニックを流し込む。
どうしようもなく、どうすることも出来ない事が、イヤと言うほど解っている現実。
今の俺に選択肢はない。
ただひとつ……璃子を信じるのみ。
俺は、今夜も、ただ、ただ、もがきながら、夜の孤独に耐えていた。
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