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正直、焦った。
見知らぬ男と並んで歩く璃子を、目の当たりにして動揺した。
松本さんの存在も大きいが、新たな男の出現か?と、心が大きく揺れ動いた。
しばらく遠巻きに窺っていたが、どうも様子がおかしい事に気づき、近づいてみると、璃子が勢いよく男の手を払いのけた。
目の前の冴えない男は早々に追っ払ったものの、すでに俺は、高ぶる感情を抑えられなくなっていた。
その後は……
タイミングもシチュエーションも関係なく、思わず璃子に自分の想いをぶつけていた。
『25歳になったら、俺と結婚しよう』
……カッコ悪ぃ
俺が心配していると、勘違いした璃子からは、『優しいお兄ちゃん』の心遣いに、半分ジョークとも取れる返事が返ってきた。
崩そうと思った『幼なじみ』の壁は、思った以上に強固だった。
……玉砕
『お前、バカだろう?』
って、照れ隠しで言うしかなかった。
だが、璃子の俺を見る眼差しは、まっすぐで、あくまで俺たちが今まで築き上げてきた関係をそのままに、俺の立ち位置をしっかりと支えてくれていた。
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