◇◇ 第43章 無償の愛 ◇◇

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「村上姉さん大丈夫?」 「当たり前じゃない、大丈夫よ。まだ2軒は行けるわね」 「まだノロケ足りないんでしょーっ」 「ナニナニ?はちみつ漬けになりたいって!?」 「キャハハハ……溺れさせてください」 あたしたちは、お店を出ると、ふたりで腕を組んで笑いながら駅まで歩いた。 駅のホームで、上りと下りに別れる。 「村上姉さん、今日は、来てくれてありがとうございました」 「もらった勇気のお礼に来ただけよっ」 「ウェディングドレス姿の写真、送ってくださいね」 「了解!璃子、またねーっ」 「お幸せにぃ~っ」 あたしは、先に到着した電車に乗り込む村上姉さんを、両手をめいいっぱい振りながら見送った。 電車の巻き起こす風が、ホームに残ったあたしのスカートをふわりと揺らした。 『坂本と村上に、抜かされちゃうかもしれないな……結婚』 仕事始めのあと交わした和也さんの言葉が、ふと甦った。 「本当に抜かされちゃったね……」 微笑みながらぽつりと呟いた。 愛しあうカップルの数だけ、それぞれの愛のカタチがある。 例え、それが叶わぬ想いであっても、片想いであったとしても、自分の心が満足しているのなら、納得しているのなら、それでいいと思う。 だって、その想いは、誰にも止めることなんて出来ないから。 「ねっ、和也さん……」 秋の夜風は、あたしの火照った頬に、そっと優しく触れて通りすぎた。
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