◇◇ 第44章 虹の架け橋 ◇◇

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「優輝、雨の中、悪かったな」 「いや、上海帰りで、社に戻るには中途半端な時間だったから、いい休憩になるよ」 「忙しいのか?」 「まぁ、それなりにね」 仲の良いふたりが、穏やかな会話を交わす。 あたしは、そんなふたりの邪魔にならないように静かに見守っていた。 その時、優輝さんの携帯が鳴った。 「おっと、捕まったな……」 携帯を見ながら呟いた優輝さんが立ち上がろうとしたのを、更科さんが制した。 「お前は、ここで電話してろ。璃子ちゃん、よかったら、庭に出ようか」 「あっ、はい」 更科さんは、部屋の大きなガラス窓を開くと、立て掛けてあった大きな傘を開いて、あたしを庭へと促した。 更科さんは、左肘を折り畳み、「どうぞ」と差し出した。 小さく会釈をしたあたしは、右手で更科さんの腕に手をかけた。 雨は、傘に音をたてないように舞い降りながら、優しく降り注いでいた。
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