◇◇ 第44章 虹の架け橋 ◇◇

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「優しい雨だね」 「そうですね」 「雨の日の庭も好きなんだ」 「素敵ですよね」 一歩一歩、芝生の中に敷かれた石畳を歩きながら、ぽつりぽつりと会話を交わす。 庭の真ん中に差し掛かったところで、更科さんは、静かに歩みを止めた。 「突然ごめんね」 「えっ!?」 意味が解らず、あたしは、更科さんを見上げた。 「出来るだけ突然、自然な璃子ちゃんを連れてきてほしいって、優輝に頼んだんだ」 「……えっ!?」 「出来るだけ自然な璃子ちゃんに会いたかったから」 「やだっ更科さんったら」 いつものジョークだと思って軽い返事を返した。 だけど、更科さんの表情は真顔だった。 「でも、心配する必要なんてなかったな」 「えっ!?」 「やっぱり、璃子ちゃんは、変わってない」 「更科さん?」 「それどころか、ますます綺麗になったね」 「……」 からかわれているのか?なんなのか、会話の意図が読み取れない。 「もっと早くに会いたかったんだけど、なかなか璃子ちゃんの面会謝絶が解けなくて……」 突然、木から飛び立った鳥の羽ばたく音で、あたしは、うまく聞き取れなかった。 「えっ!?なんて!?」 「ううん。なんでもない。安心したよって言ったんだ」
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