◇◇ 第44章 虹の架け橋 ◇◇

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「更科さん、どうされたんですか?少し意味が解らないです……」 優しく微笑む更科さんを見上げ、あたしは、素直に伝えた。 あたしの言葉に、微笑みを浮かべたまま、更科さんは視線をあたしの右手に移した。 あっ!? 思わず、更科さんの左腕に添えていた右手を引き抜こうとしたが、一瞬で更科さんの脇に挟まれ、阻まれた。 引き抜く事の出来なかったあたしの右手には…… 和也さんからの指輪が、静かに輝いていた。 「逃がさないよ」 更科さんの小さく発せられた言葉が、耳に届く。 「ごめんなさい」 「謝る事なんて、何ひとつないけど?」 静かに降り続く雨が、周りから遮断する。 外にいるのに、傘の中は、まるで密室のようだった。 「誰にも言わないでください」 あたしは、抵抗をやめて、静かに呟いた。 「もちろん。だから安心して、俺には本当の気持ちを聞かせてほしいな」 もう一度、更科さんを見上げると、うれしそうに微笑む笑顔があった。
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