◇◇ 第44章 虹の架け橋 ◇◇

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「あらっ、優輝」 「いらっしゃいませ優輝さん」 電話を終えた薫さんとキリのついた房子さんが、玄関から出迎えた。 「薫さん、房子さんお久しぶりです。 薫さん、先日は、父へのお祝いをいただきましてありがとうございました。くれぐれもよろしくお伝えするようにと賜りました」 「喜んでいただけてよかったわ」 優輝さんと薫さんは、ずいぶんと古いお付きあいのようだった。 「今日は、どうしたの?」 「ええ、今、上海から戻って来たところなんですが、更科のお願いした品物の受け取りを頼まれまして」 「ちょうどよかったわ。用意出来てるわよ」 「あと、よろしかったら、食事に連れて行きたいんですけど」 「あらっ、うれしい。すぐに支度するわね」 滑らかな大人の会話が進んでゆく。 「あ、いや、その……」 珍しく優輝さんが、言いにくそうに言葉を濁した。 その時、房子さんが、クックックと、笑い声を上げた。 「薫さま、そのくらいで許して差し上げないと、優輝さんが、困っていらっしゃいますよ」 「だって房子さん、私もたまには、お食事に誘われたいじゃない」 「すみません薫さん。次回はぜひ」 「あらっ、約束したわよ優輝」 「はい。必ず」 ずいぶんと艶やかで楽しげな会話が、3人で交わされるのを、あたしは、じっと聞いていた。
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