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「良かった。璃子、ありがとなっ」
「えっ!?」
「由香里のフォロー」
「えっ!?フォローなんてしてませんよ。一緒に大笑いして、ノロケに付き合っただけです」
優輝さんは、クスッと笑うと、運転しながら、一瞬だけ、チラリとあたしに視線を向けた。
「由香里にとって、璃子は特別だからな」
「特別ですか?」
「あぁ。由香里は、豪快に見えるが、彼女なりに細やかに気を遣っている。
そんな由香里が、遠慮なく自分を出せる唯一の後輩。
後輩って言う言い方も、もうおかしいか……。
会社で出会った親友……かな」
「そんな……」
「誰しも、会社に勤めている間は、人間関係が続くが、辞めた後も続く信頼関係を築ける人間は、少ない。
そんな中、由香里と璃子の関係は、すでに一生続くレベルに達してると、俺は思っているよ」
「……優輝さん」
「だから、そんな璃子に、坂本の部署異動の件も含め、不安や愚痴を漏らしてないって事は、納得してもらえたのかなって……ちょっと安心した」
以前、優輝さんが、内示をする人間の胸の内を話してくれた事を思い出した。
そして、優輝さんから、ホッとした空気が伝わってきた。
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