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「フフッ……見事な変身ですね」
俺は、静かに微笑みを浮かべ、続けた。
「本当に。麗香さん、あなたと璃子では、すでに比べ物にもならない」
「解っていただけました?」
「ええ、麗香さん。あなたは、すでに璃子の足元にも及ばない」
「何ですって!?」
ワナワナと怒りで震える麗香が、再度、俺を睨みあげた。
「璃子は、とても聡明で、芯のしっかりした女性です。
聖母のように惜しみなく配られる癒しと、彼女から溢れ出る笑顔は、周りを温かく包み込み、見えない傷までも優しく癒す。
そして、彼女の放つ癒しのオーラに触れた者は、どんな者でも牙を抜かれてしまう。
だから、彼女の、璃子の周りには、多くの人が集まり、やがては、大きな力となって、神の手までもが現れる。
私は、そんな璃子を世界の誰よりも愛しています」
俺は、璃子の顔を思い浮かべながら、素直な想いを穏やかに告げた。
凍りつくほどの冷たい風が、ふたりの間に流れ込んだ。
「ふっ……バカバカしい!和也さん、思い直すなら今のうちですわよ!」
麗香は、さすがに動揺を隠しきれず、顔を引きつらせながら、強気な発言を続けた。
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