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人だかりから離れ、ゆっくりと広場を歩きながら、俺は会話を始めた。
「麗香さん」
「はい」
「先日、聞かれました理想の女性像についてなのですが……」
「ええ。ぜひお聞かせください」
先日の縁談の話をすると思ったのだろう。麗香は、にっこり微笑みながら、俺を上目遣いで見上げた。
「私は、どんなに離れていても、私にエネルギーを与えてくれ、私を本気にさせ、私の力を最大限に引き出してくれる女性が理想です」
「内助の功ですわね。とても素敵ですわ」
「心根の部分で、しっかりと結びあえる女性」
「ええ」
「どんな環境においても周りに癒しを与え、周囲を味方に変える事が出来る女性。
優しさを強さに変える事が出来る女性。
そんな方を妻に迎え入れたい」
「解りますわ」
麗香は、俺の言葉を聞きながら、潤ませた瞳で俺を見つめる。
うん、うんと、頷く仕草は、まるで告白の時を待っている女の姿だった。
「私なら、和也さんの求める女になれます。いいえ、なりますわ」
足を止め、俺の前に回り込んだ麗香は、俺の胸に優しく触れながら、まるでキスでもせがむように、寄り添った。
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