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「ねっ、和也さん。そうですわよね」
儚げな瞳を向けてはいるが、その奥には、『頷け』と言わんばかりの強さが滲み出ている。
俺は、ゆっくり息を吸い込み、冷たい眼差しを向けると言った。
「あなたでは、無理です」
「えっ!?」
一瞬で、麗香の顔がひきつった。
「えっ!?和也さん?」
「私が求める女性は、あなたではありません」
もう一度、確認しようとする麗香に、俺は、容赦なく拒絶の言葉を贈った。
「なっ、何ですって?そんな、ご冗談を」
「冗談では、ありません」
きっと、今までの人生で、チヤホヤされることはあっても、否定された事は初めてだったのだろう。
麗香の表情が、みるみる形相を変えてゆく。
「あなたでは、私のパートナーは無理だ」
「なっ、なんですって!?じゃ、じゃあ、誰ならお相手に相応しいとおっしゃるの!?」
一瞬で剥ぎ取られた仮面を脱ぎ捨て、麗香はキッと俺を睨みあげ、続けた。
「あの女の方が、良いっておっしゃるの!?」
「あの女、ですか?」
さらりとツッコミを入れると、麗香は、シマッタとばかりにギュッと下唇を噛んだ。
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