◇◇ 第47章 クリスマスのお誘い ◇◇

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12月を迎え、街は、クリスマス一色に色づいて輝いていた。 冬空の下で、イルミネーションが輝く街の中をひとり歩く。 仲良しなカップルとすれ違うと、いつも和也さんが居てくれた右側が、少しだけ寒く感じた。 歩くときはいつも右手を握ってくれて、貴方のポケットの中で、包み込んでくれていたよね。 こんな寒い季節に外を歩くと、和也さん、貴方の優しさと温もり、そして、どれだけの愛情を注いでくれていたのかが、わかるよ。 1年ほど前、村上姉さんに、『松本部長焦ってるみたい』って言われた言葉が思い出される。 あの頃のあたしは、まだ、貴方の背負っているものの大きさに、全く気づいていなかった。 でも今なら、貴方が、渡グループを背負う覚悟を持った上で、あたしたちの未来を考え、あたしに、めいいっぱいの愛情を注いでくれていたことが、痛いほど理解出来る。 でも、貴方と離れた今、解るなんて、遅すぎてあたしらしいけど…… 和也さん、元気にしていますか? ニューヨークでは、雪が舞っているのでしょうか? 和也さん…… 和也さん…… どれだけ思い出しても、感謝の気持ちと愛する気持ちしか生まれません。 やっぱり、あたしは…… 和也さん……貴方が大好きです。 じわりと締め付けられる胸に、そっと手を当て、時折押し寄せる切ない想いを、じっくりと味わった。
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