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「いい、璃子ちゃん。このドレスに、この真珠をつけてね」
「こ、こんな高級なお品ものは、お借りできません!」
「何いってるの。貸すんじゃないわ。これは、璃子ちゃんへのプレゼントよ」
「えっ!?」
「そおねぇ。冬のボーナスってところかしら?」
「ええっ!?そんな、ボーナスなんていただけません」
「あら、璃子ちゃんに着てもらえないと悲しいわよね~」
薫さんは、ドレスに向かって話しかけていた。
「璃子ちゃん、あなたの為に用意したんだから、もらっていただけないかしら?」
薫さんは、柔らかく私に微笑んだ。
「……本当に、よろしいんですか?」
「もちろん。その為に、ヨーロッパで買ってきたんだから」
ヨーロッパ!?
ドレスと真珠は、薫さんが、ご主人との旅行の時に、探してくださったものだった。
「ありがとうございます」
あたしは、薫さんのお心遣いがうれしくて、大きな声で感謝の気持ちを伝えた。
「その代わり、翌日のわが家のクリスマスパーティーには、素敵な男性をゲットして連れてきてね」
「ぐはっ!?」
薫さんのジョークに、あたしは、声にならない言葉を発した。
…………
……
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