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「フンフンフン……♪」
あたしは、ドレスをいただいた時の、薫さんとの会話を思い出しながら、もう一度鏡の前でくるりと回った。
だいぶ伸びた髪を、くるくるとカールさせて、お化粧も、ネックレスも、ピアスも準備ヨシ!
お泊まりの支度をした鞄を持ち、鏡の中の自分に、にっこり笑顔を向けた。
お泊まり鞄は、村上姉さんの『命令』で準備したもの。
『パーティーの夜は、ホテルを一室、予約してあるから。
冴子さんと美紅と、4人で、朝まで女子トーク炸裂バトルをするからね!』
冴子さんから招待状を受け取り、その夜、村上姉さんに電話をかけた時の事だった。
「結婚パーティーの後の、ましてやイブの大切な夜に、なぜに女子会ですか?」
なんて、あたしは、ツッコミを入れた。
『なによ。あたしの言うこと聞けないっつうの!?』
村上姉さんは、電話口から、半ば脅しのような凄みを利かせた。
いやはや、主役の花嫁は強し……だ。
そんなこんなで、スッカラカンだったイブに楽しい予定が入ったあたしは、綺麗に着飾り、荷物を持つと、リビングへと階段を降りた。
「お父さん、お母さん、そろそろ行ってきます」
明るく扉を開くと、リビングのテレビには、今週の出来事をまとめた報道ニュースが流れていた。
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